アクセス権限

アプリ・レコード・フィールドの3段階で、きめ細かいアクセス制御を設定できます。 デフォルトではアプリへのアクセス権は付与されていないため、明示的に権限を設定する必要があります。

権限の3層構造

アクセス権限の評価順序

アプリ権限
↓ アプリにアクセスできる?
レコード権限
↓ このレコードを操作できる?
フィールド権限
↓ このフィールドを見れる?編集できる?

すべての権限チェックを通過した操作のみ実行されます。上位の権限で拒否された場合、下位の権限は評価されません。

3層は AND(下位は上限を狭めるだけ・広げられない)

アプリ権限

編集 ○
=できることの上限

レコード権限

他人のレコードは閲覧のみ
✕ 狭める

フィールド権限

給与は非表示
✕ 狭める

実際にできること

自分のレコードの
給与以外を編集

下位の権限は上位(アプリ権限)の範囲を広げられません。3つすべてを満たした操作だけが実行されます(AND)。

アプリ権限

アプリ全体に対するアクセスレベルを設定します。設定は「権限設定」タブの「アプリ権限」から行います。

アプリ権限の設定画面

対象閲覧追加編集削除インポートエクスポート管理
全員
営業部
管理者グループ
田中太郎
権限
なし(デフォルト)
閲覧
-
追加
-
編集
-
削除
-
管理
-
権限
閲覧者
閲覧
追加
-
編集
-
削除
-
管理
-
権限
編集者
閲覧
追加
編集
削除
管理
-
権限
管理者
閲覧
追加
編集
削除
管理
  • 優先順位 -- 上位のルールが優先。ドラッグで順序を変更できます
  • 「全員」 -- アプリにアクセスできる全メンバーに適用されるベースライン
  • 管理権限 -- フォーム設定・権限設定・ワークフロー設定などの管理操作
  • インポート/エクスポート -- CSV操作の個別許可

権限の対象

権限ルールの対象として、以下の種別を指定できます。

対象の選択

全員
ユーザー
組織
グループ
対象種別
全員
説明
アプリにアクセスできるすべてのユーザー
対象種別
ユーザー
説明
特定のユーザーを個別に指定
対象種別
組織
説明
指定した組織に所属するメンバー
対象種別
グループ
説明
指定したグループに所属するメンバー

レコード権限ではこれらに加えて、レコードやログイン状況に応じて動的に判定される対象も指定できます:作成者更新者ログインユーザー、および フォーム上のユーザー/組織/グループ選択フィールドの値(例: 「担当者」フィールドにログインユーザーが含まれる場合)。

レコード権限

レコード単位で閲覧・編集・削除の可否を制御します。条件に一致するレコードに対して権限ルールを適用します。

レコード権限の設定例

ルール 1(上)
作成者は自分のレコードを編集・削除できる
対象:作成者/ 条件: なし(全レコード)
権限:
閲覧 ○
編集 ○
削除 ○
ルール 2(下)
それ以外のユーザーは編集・削除できない
対象:全員(対象者なし)/ 条件: なし
権限:
閲覧 ○
編集 ×
削除 ×

上の例で「作成者だけが自分のレコードを編集・削除でき、他のユーザーは閲覧のみ」になります。ポイントは3つ: ① 対象者を指定しないルールは「全員」に一致します(②のように下に置くと「それ以外」として機能します)。 ② 作成者を許可するルールだけでは、一致しないユーザーは既定で許可されてしまうため、「全員=不可」ルールを作成者ルールより下に置きます(上のルールが優先。上に置くと作成者も全員ルールに当たって不可になります)。 ③ 前提としてアプリ権限で編集・削除を ON にしておきます(レコード権限はアプリ権限の範囲内でのみ機能します)。

優先順位(first-match): ルールは上から順に評価され、最初に一致した1つのルールだけが適用されます(以降のルールは評価されません)。「一致」とは対象(誰)と条件(どのレコード)の両方が当てはまることを指します。上の例では、作成者が自分のレコードを操作するときは先にルール1へ一致するためルール2は無視され、編集・削除が許可されます。それ以外のユーザーはルール1に一致せず、ルール2(全員)に一致して閲覧のみになります。どのルールにも一致しない場合は既定で許可されます。ルールの順序は「上へ/下へ」で変更できます。

レコード権限の条件には「フィールド値」も使用できます。例えば、ユーザー選択フィールドの値がログインユーザーと一致する場合のみ編集を許可する、といった設定も可能です。

ルールは上から順・最初に一致したルールで確定(first-match)

ルール1作成者 = 編集可◀ 一致!ここで確定
ルール2全員 = 編集不可(評価されない)

上のルールが優先。最初に一致した1つだけが適用され、以降は見ません。どのルールにも一致しなければ既定で許可されます。

動的な対象はレコードごとに判定される

ルール: 「担当者」フィールドのユーザー = 閲覧可
レコードA(担当者 = あなた)一致 → 閲覧可
レコードB(担当者 = 他の人)不一致 → 閲覧不可

作成者・更新者・ログインユーザー・フォームのユーザー/組織/グループフィールドは、同じルールでもレコードごとに結果が変わります(レコード権限・フィールド権限どちらでも)。

条件にワークフローステータスを使う((ステータス))

ワークフローステータスを定義したアプリでは、条件フィールドの先頭に特別な項目 「(ステータス)」が追加されます(ワークフロー自体の有効/無効は問いません)。 これは通常のフィールドではなく、レコードの現在のワークフローステータスを 条件に使うための専用の項目です(例:「ステータス = 承認済み → 経理グループのみ削除可」)。

条件フィールドで「(ステータス)」を選んだ場合

(ステータス) ▼
= ▼
承認済み ▼

演算子は「=」「!=」のみ。値はステータスの一覧から選択(色付き)

  • 演算子は「=」「!=」の2つだけ使用できます(大小比較・部分一致等の他の演算子は選べません)
  • 値は、そのアプリで定義済みのステータスから選びます(通常のフィールド条件のようなテキスト入力ではなく、色付きのドロップダウンで選択)
  • ワークフローが無効化されている間、レコードは「ステータスなし」として扱われます(そのため、この条件が「=」の場合は常に不一致、「!=」の場合は常に一致になります。意図せず全員に許可が広がる/全員から拒否されることはありません)
  • 条件で参照していたステータスが後から削除された場合も同様の帰結になります(「(削除されたステータス)」として表示されたまま条件自体は残りますが、削除されたステータスを指す条件はどのレコードの現在ステータスとも一致しなくなるため、「=」条件は常に不一致、「!=」条件は常に一致になります。 意図せず全員に許可が広がる/全員から拒否されることはありません)
  • ワークフローの「ステータスごとの保護設定」(設定 → ワークフロー)と同時に評価され、どちらかが拒否すれば操作は拒否されます。 「承認済みは編集不可」のような単純な制御は、この条件を組む代わりにワークフロー側の保護設定(編集の保護 = ロック 等)で完結させることもできます
  • さらに期間ロックが設定されている場合、指定した期間・対象者に該当するレコードは、上記のアクセス権やワークフロー保護設定の結果に関わらず編集・削除できません。 期間ロックはアプリ管理者を含め誰にもバイパスできない点が、他の権限設定と異なります

条件にユーザー/組織/グループ選択フィールドを使う

条件フィールドにユーザー選択・組織選択・グループ選択フィールドを選んだ場合、値は自由入力ではなく一覧からの選択(ピッカー)になります(例:「営業担当 = 山田さん → 経理グループは閲覧不可」)。

  • 演算子は「=」「!=」の2つだけ使用できます(大小比較・部分一致は選べません)
  • 「=」は選んだユーザー(組織/グループ)がフィールドに含まれること、「!=」は含まれないことを意味します。フィールドに複数のユーザーが設定されている場合は、いずれか 1 人が一致すれば「=」に一致します
  • フィールドが未設定のレコードは「=」条件には一致しません(「!=」条件には一致します)

フィールドアクセス権

フィールド単位で「新規追加」「編集」「閲覧」の 3 つの画面ごとにアクセス権を制御します。 機密情報を隠す用途だけでなく、 「ステータスは新規時には選ばせない」「契約番号は一度登録したら変更不可」 など 運用上の入力ガード用途にも使えます。

3 軸モデル: 画面ごとに「非表示 / 閲覧のみ / 編集可」 を選ぶ

新規追加

新規追加フォームで、 この field を表示するか / 入力できるか

編集

編集フォームで、 この field を表示するか / 変更できるか

閲覧

詳細画面 / 一覧 / API レスポンス / 帳票で、 この field を表示するか

各画面ごとに独立して設定できます。 たとえば「新規追加では非表示、 編集では閲覧のみ、 詳細では編集可」 のような設定が可能です。

フィールドアクセス権の設定画面 (= 1 行に 3 つの dropdown)

フィールド対象新規追加編集閲覧プリセット
ステータス全員
非表示
編集可
表示
フォームでは非表示
契約番号全員
編集可
閲覧のみ
表示
新規時のみ入力
給与人事部
編集可
編集可
表示
すべて編集可
給与全員(既定)
非表示
非表示
非表示
完全非表示

プリセット (= 典型的な 5 パターン)

よく使う組合せはプリセットとして用意されています。 プリセットを選ぶと 3 つの dropdown が 自動で設定されます。 後から個別に dropdown を変更した場合は「カスタム」 表示になります。

プリセット
すべて編集可(既定)
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
用途
通常のフィールド。 制限を一切かけない
プリセット
読み取り専用
新規追加
閲覧のみ
編集
閲覧のみ
閲覧
表示
用途
全画面で表示するが入力させない (= 集計値、 ワークフロー結果 等)
プリセット
フォームでは非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
表示
用途
新規追加・編集フォームでは非表示、 一覧・詳細・API では閲覧のみ(編集はアプリ管理者だけ)。 一般メンバーにも詳細・編集で更新させたい内部フィールドは、 編集軸を「編集可」 にしたカスタム設定にする(下の活用例参照)。 なお閲覧軸は「表示」 のままなので、 このフィールドを他フィールドの参照表示(フォーム設定の「高度な設定」)に指定すれば、 フォームに入力欄を出さないまま、 値だけをグレーの行で見せられる
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
用途
すべての画面・API で見せない (= 自動セット系、 アクション/API 専用フィールド 等)
プリセット
新規追加時のみ入力 (編集では変更不可)
新規追加
編集可
編集
閲覧のみ
閲覧
表示
用途
一度登録したら変更させたくない field (= 契約番号、 申込番号、 顧客 ID 等)

典型ユースケース

ユースケース
選考・対応・進捗ステータス管理
推奨プリセット
フォームでは非表示
意図
新規申請者には固定値 (= 「未選考」) で登録させ、 担当者だけが詳細画面で変更
ユースケース
内部メモ・評価コメント
推奨プリセット
フォームでは非表示
意図
申請者には見せず、 内部スタッフだけが詳細画面で記入・閲覧
ユースケース
担当者割当
推奨プリセット
フォームでは非表示
意図
新規追加時には自動セットや後付け運用、 編集時のみ担当者を変更
ユースケース
外部システム連携 (= API 自動セット)
推奨プリセット
完全非表示 + 別途グループに「すべて編集可」 を許可
意図
UI 上は見せないまま、 連携 API トークンや管理者だけが値を入れる
ユースケース
ワークフロー制御 fields (= 承認状態 等)
推奨プリセット
完全非表示 (もしくはワークフロー管理者のみ「すべて編集可」)
意図
人間が直接編集すると workflow 状態が壊れるため、 UI からは完全に隠す
ユースケース
契約番号・申込番号など一度入力したら不変な値
推奨プリセット
新規追加時のみ入力
意図
新規登録時にのみ入力可、 編集画面では閲覧のみで誤変更を防ぐ

優先順位と動的対象

優先順位: 同一フィールド内では固有の対象(ユーザー / 組織 / グループ / 動的対象)が「全員」より常に優先されます。 固有の対象が複数該当する場合は上の行が優先されます(行はドラッグで並び替え可能)。 どの固有ルールにも該当しないときに「全員」(既定・フォールバック)が適用されるため、「全員」 は各フィールドの末尾に固定されています。

フィールドアクセス権の対象には、ユーザー / 組織 / グループ / 全員 に加えて、 レコードごとに判定される動的な対象も指定できます:作成者更新者ログインユーザーワークフローの現在の担当者、 および フォーム上のユーザー / 組織 / グループ選択フィールドの値(例: 「担当者」フィールドにログインユーザーが含まれる場合)。

ワークフローの現在の担当者は、 そのレコードのワークフローで今のステータスの担当者になっている人にだけ一致します。 レコードに担当者がピン留めされている場合は、 そのステータスの担当者設定(指定ユーザー・誰でも等)に関わらず、ピン留めされた人だけが一致します。 例えば「申請中ステータスは申請者本人だけが編集できる」「承認待ちステータスは承認者だけが編集できる」といった、 ステータスごとに編集可能な人を切り替える運用に使えます。 新規作成フォーム(レコードがまだ無い状態)では常に一致しません。 ワークフローが無効なアプリや、 担当者が「誰でも」のままピン留めもされていないステータスでも同様に誰にも一致しません。

ただし、 動的な対象を含むフィールドアクセス権が設定されたフィールドは、検索・絞り込み・並び替え・集計の対象から除外されます。 これはレコードを取得せずにクエリを実行する場面で情報が漏れるのを防ぐための制限です。 CSV エクスポートも同様に保守的に扱われ、 動的な対象(ワークフローの現在の担当者を含む)のルールが設定された列は、 管理者以外のエクスポートでは出力されません(一致する人がレコードごとに変わるため、 一括出力の時点では判定できないことによる制限です)。

サーバー側強制: フィールドアクセス権は UI だけでなくサーバー側 API / CSV インポート / 公開フォーム / 一括更新 / 帳票出力 のすべての経路で強制されます。 UI で隠している field が API 経由で送られても無視され、 閲覧不可の field は API レスポンスから自動で除去されます。

権限による表示の違い

レコード画面での見え方

管理者の場合

会社名

株式会社ABC

給与

¥350,000

評価コメント

次期リーダー候補

一般メンバーの場合

会社名

株式会社ABC

給与

(値は表示されません)

評価コメント

(値は表示されません)

画面ごとの見え方 (= フィールドアクセス権 3 軸モデル)

「ステータス」 を「フォームでは非表示」 プリセットで設定した例。 新規追加では完全に隠れ、 編集・詳細では表示・編集可能。

新規追加画面

氏名

山田 太郎

(ステータスは表示されません)

編集画面

氏名

山田 太郎

ステータス

選考中

詳細画面 / 一覧

氏名

山田 太郎

ステータス

選考中

権限の評価ルール

  1. アプリ権限をチェック — アプリへのアクセスが許可されているか
  2. レコード権限をチェック — そのレコードに対する操作が許可されているか
  3. フィールドアクセス権をチェック — そのフィールドが操作中の画面(新規追加 / 編集 / 閲覧)で表示・編集可能か

1つの操作の判定フロー(例: あるフィールドを編集できる?)

アプリ権限: 編集できる?
Yes ↓No → ✕ 不可
レコード権限: このレコードを編集できる?
Yes ↓No → ✕ 不可
フィールドアクセス権 (= 編集軸): このフィールドを編集できる?
Yes ↓No → ✕ 不可
○ 編集できる
  • 3 つの権限はすべて満たす必要があります(AND)。 アプリ権限で許可されていない操作は、 レコード権限・フィールドアクセス権で許可し直すことはできません(レコード/フィールドアクセス権はアプリ権限の範囲を狭める用途で、 広げることはできません)。 例: アプリ権限で「編集」 を OFF にすると、 レコード権限で作成者に「編集」 を付与しても編集できません。
  • レコード権限は、どのルールにも一致しないと既定で許可されます。 特定の人だけに制限したい場合は、 許可ルールに加えて「対象者を指定しない(=全員)」ルールで他を不可にします(下の活用例を参照)。
  • レコード権限の優先順位 — ルールは上から順に評価され、最初に一致した1つのルールだけが適用されます(first-match。 以降のルールは評価されません)。 順序は「上へ/下へ」 で変更できます。
  • フィールドアクセス権の優先順位 — 同一フィールド内では固有の対象(ユーザー/組織/グループ/動的対象)が「全員」より常に優先され、 固有の対象が複数該当する場合は上の行が優先されます(ドラッグで並び替え)。
  • フィールドアクセス権の 3 軸はそれぞれ独立: 新規追加軸 (createAccess)・編集軸 (editAccess)・閲覧軸 (viewAccess) は別々に判定されます。 たとえば「閲覧軸 = 表示」 でも「編集軸 = 非表示」 なら、 編集画面でその field は見えません。
  • アプリ管理者はフィールドアクセス権を含むすべての権限チェックをバイパスします
  • 帳票・CSV エクスポート出力時にもフィールドアクセス権 (= 閲覧軸) が適用され、 閲覧軸が「非表示」 の field のデータは出力されません

設定したフィールドアクセス権が一般メンバーにどう見えるかは、フォーム設定の「プレビュー」 で 「視点」 を「すべてのユーザー」 に切り替えると、本番に適用する前に確認できます(非表示フィールドは消え、読み取り専用は ロックアイコンで表示)。

パッケージが最初から設定する権限

自分で作ったアプリの権限が「なし」から始まるのに対し、アプリストアのパッケージには、権限が設定済みの状態で入るものがあります(「勤怠」「共通マスタ」)。導入直後から「他人の勤怠は見えない」状態で使い始められるようにするためです。

  • パッケージは役割(「打刻する人」「申請を承認する人」「勤怠を管理する人」など)を宣言しており、導入時にそれぞれの担当者を指定します。指定しなければ宣言された既定が使われます。詳しくはアプリストアと導入済みパッケージを参照してください
  • 役割はグループとして作られ、アプリ権限・レコード権限の対象になります。担当者を入れ替えたいだけなら、グループのメンバーを変えるのがいちばん簡単です(アプリを 1 つずつ開く必要はありません)
  • パッケージが作った権限に特別な保護はありません。ふつうのアプリと同じように、設定 → 権限から自由に変更・削除できます
  • 役割のグループはパッケージをアンインストールしても残ります(他のアプリの権限にも使われている可能性があるため)。不要になったらグループ管理から削除してください

役割を宣言していないパッケージ・サンプルアプリは、これまでどおり導入した人が管理者、レコードは全員が操作できる状態で作られます。業務で使う前に、このページの内容に沿って絞り込んでください。

パッケージのレコード権限を編集するときの注意

レコード単位で絞っているアプリ(勤怠パッケージの日次勤怠・勤怠申請など)では、レコード権限が上から次の順に並びます。マスタ類のようにアプリ権限だけで足りるアプリには、レコード権限が 1 行も入りません。

  1. 全件を扱う役割(勤怠を管理する人)= 許可
  2. 自分に紐づく行だけの役割(本人・その申請の承認者)= 許可
  3. 最下段に対象者を指定しないルール = 不可(シフト表だけは「閲覧のみ可」)

最下段が絞り込みの本体です。レコード権限はどのルールにも一致しないと許可されるため(前述の評価ルール)、この行を消すと上に並んだ許可ルールは何も制限しなくなり、全員に全件が見えます。「許可ルールだけを並べても絞れない」のはパッケージが作った権限に限らず、レコード権限そのものの性質です。

  • 行を足すときは最下段より上に入れてください(下に置いても評価されません)
  • 「見えるはずの人に見えない」ときは、その人が役割のグループに入っているかをまず確認します(アプリ権限で許可されていても、レコード権限の最下段で止まります)
  • 逆に広げすぎた場合はエラーになりません。権限を編集したら、対象外の利用者でログインして確認するか、フォーム設定の「プレビュー」で視点を切り替えて確かめてください

活用例

シナリオ
全員が閲覧できるが、編集は営業部のみ
設定方法
アプリ権限で「全員=閲覧」「営業部=編集」を設定
シナリオ
自分が作成したレコードのみ編集・削除可能
設定方法
アプリ権限で編集・削除を ON にし、レコード権限で「作成者」を許可+「全員(対象者なし)」を不可(作成者ルールを上に)
シナリオ
給与フィールドは人事部のみ閲覧可能
設定方法
フィールドアクセス権で「給与」 を「人事部 = すべて編集可」「全員 = 完全非表示」 プリセットで設定
シナリオ
完了レコードは編集不可
設定方法
ワークフローがあるアプリなら「(ステータス)」条件(前述)で編集を拒否。通常のドロップダウンフィールドで「ステータス」を管理している場合は、そのフィールド値の条件で同様に設定可能
シナリオ
作成者だけが緊急連絡先などの機微フィールドを閲覧・編集できる
設定方法
フィールドアクセス権で当該フィールドを「作成者 = すべて編集可」「全員 = 完全非表示」 で設定(動的対象の活用)
シナリオ
担当者(ユーザーフィールド)以外は備考を編集できない
設定方法
フィールドアクセス権で「備考」 を「フォームのユーザーフィールド(担当者) = すべて編集可」「全員 = 読み取り専用」 プリセットで設定(動的対象の活用)
シナリオ
選考ステータスは申請者には見せず、 担当者が詳細・編集画面で変更
設定方法
フィールドアクセス権で「ステータス」 を 新規追加軸=非表示 / 編集軸=編集可 / 閲覧軸=表示 に設定(公開フォーム・新規追加では隠し、 詳細・編集では更新可)。 ※「フォームでは非表示」 プリセットは編集軸も「非表示」 なので、 一般メンバーの担当者には更新させられない(管理者のみ)
シナリオ
契約番号は申請時のみ入力、 編集画面では変更させない
設定方法
フィールドアクセス権で「契約番号」 を「新規追加時のみ入力 (編集では変更不可)」 プリセットで設定
シナリオ
ワークフロー制御 field を UI から完全に隠す
設定方法
フィールドアクセス権で「完全非表示」 プリセット (= 新規追加・編集・閲覧 すべて非表示) を設定。 値は workflow / API から自動セット

誰の権限で書き込むか

レコードへの書き込みは 7 種類の鍵で守られています。アプリ権限、レコード権限、アプリの状態、期間ロック、 ワークフローの編集制限、項目権限、ステータス別の項目権限です。どの鍵が誰に効くかは次の 4 つの規則で決まります。

  1. 値を決めた人の権限で項目を書く。 フォームや API で入力した値、転記や複製で別のレコードから写す値は、操作した人の項目権限で判定します。アクションボタンの固定値・現在時刻・本人参照や、入力ルールの自動セットのように管理者が設定で固定した値は、その設定を保存した管理者が書けると決めた項目にだけ書けます (押した人の項目権限は見ません)。
  2. 行に触れるかは常に操作した人で判定する。 アプリ権限・レコード権限・ワークフローの担当者制限は、ボタンや自動化でも借りられません。
  3. 全員に効く鍵は管理者にもボタンにも効く。 期間ロック、ロック状態、ステータス別の項目権限は、アプリ管理者や作者の設定でも迂回できません。
  4. 実行した人は常に記録される。 権限の主体が設定でも、作成者・更新者には操作した人が入ります。

ワークフローの遷移は、ワークフローの担当設定 (担当者・追加で許可した人) が正本です。レコード権限は「閲覧できること」だけを要求し、 編集不可の行でもステータスは動かせます。API トークンは発行者の権限を借りますが、アプリ管理者には昇格しません。

使い方: 顧客管理アプリの権限を設定する

「顧客管理」アプリで以下の要件を実現します:

  • 営業部は閲覧・追加・編集が可能
  • サポート部は閲覧のみ
  • 「年収」フィールドは営業マネージャーのみ閲覧可能
  • 自分が担当していない顧客の「備考」は編集不可

1アプリ権限を設定

設定 → 権限 → 「アプリ権限」タブで、グループごとの基本権限を設定します。

対象
営業部
閲覧
追加
編集
削除
対象
サポート部
閲覧
追加
編集
削除
対象
全員
閲覧
追加
編集
削除

「全員」はアクセスなしにして、必要なグループだけに明示的に付与します。

2フィールドアクセス権を設定

「権限」 タブ → 「フィールドアクセス権」 で、「年収」 フィールドのアクセスを制限します。 プリセットを使うと 3 つの dropdown が自動でセットされます。

フィールド
年収
対象
営業マネージャーグループ
プリセット
読み取り専用
新規追加
閲覧のみ
編集
閲覧のみ
閲覧
表示
フィールド
年収
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示

営業部の一般メンバーにも「年収」 は表示されません (= 完全非表示)。 マネージャーグループのみ閲覧できます (= 読み取り専用)。

3フィールドアクセス権で担当者フィールドを動的対象に指定

「権限」 タブ → 「フィールドアクセス権」 で、「備考」 フィールドに動的対象のルールを追加します。

フィールド
備考
対象
フォームのユーザーフィールド(担当者)
プリセット
すべて編集可
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
フィールド
備考
対象
全員(既定)
プリセット
読み取り専用
新規追加
閲覧のみ
編集
閲覧のみ
閲覧
表示

「フォームのユーザーフィールド(担当者)」 を対象に選ぶと、 レコードの「担当者」 フィールドに自分が含まれているときだけ編集が許可されます。 担当者でないユーザーは「全員」 ルールが適用されて閲覧のみになります。

4動作の確認

ユーザー
営業マネージャー
見えるもの
全フィールド(年収含む)
できること
全レコード閲覧・編集・追加・削除
ユーザー
営業部一般
見えるもの
年収以外のフィールド
できること
全レコード閲覧・編集(他人の備考は閲覧のみ)
ユーザー
サポート部
見えるもの
年収以外のフィールド
できること
閲覧のみ

ユースケース別 設定ガイド

よくある業務アプリを例に、現場で求められる権限要件をどう設定するかを解説します。 3つの権限(アプリ/レコード/フィールド)はすべて満たす必要があり(AND)、 レコード/フィールド権限はアプリ権限の範囲を狭める用途で使います。

1経費精算アプリ

要件: 申請者は自分の申請だけ閲覧・編集できる/承認済みになったら本人も編集不可/経理は全件を閲覧(口座番号も)できる/口座番号は本人と経理以外には見せない

レコード権限(上から順に評価)

ルール
1(上)
対象
作成者
条件
ステータス = 承認済み
閲覧
編集
×
削除
×
ルール
2
対象
作成者
条件
なし
閲覧
編集
削除
ルール
3
対象
経理グループ
条件
なし
閲覧
編集
×
削除
×
ルール
4(下)
対象
全員(対象者なし)
条件
なし
閲覧
×
編集
×
削除
×

フィールドアクセス権

フィールド
口座番号
対象
作成者
プリセット
読み取り専用
新規追加
閲覧のみ
編集
閲覧のみ
閲覧
表示
フィールド
口座番号
対象
経理グループ
プリセット
すべて編集可
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
フィールド
口座番号
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
  • 「承認済みは編集不可」 は、作成者+条件(ステータス=承認済み)のルールを作成者ルールより上に置きます(最初に一致したルールが適用=first-match)。 承認前は自分の申請を編集でき、 承認後は閲覧のみになります
  • 口座番号は本人(作成者)と経理だけが閲覧でき、 他のメンバーには非表示 (= 完全非表示)。 経理だけが修正できます (= すべて編集可)。 本人は読み取り専用で誤変更を防ぎます

2顧客・案件管理アプリ(営業)

要件: 営業担当は自分が担当する顧客だけ閲覧・編集できる/ 営業マネージャーは全顧客を閲覧・編集できる/与信限度額は管理職だけが見られる。

レコード権限(上から順に評価)

ルール
1(上)
対象
フォームのユーザーフィールド(営業担当)
閲覧
編集
削除
×
ルール
2
対象
営業マネージャーグループ
閲覧
編集
削除
ルール
3(下)
対象
全員(対象者なし)
閲覧
×
編集
×
削除
×

フィールドアクセス権

フィールド
与信限度額
対象
営業マネージャーグループ
プリセット
すべて編集可
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
フィールド
与信限度額
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
  • 「営業担当」 はフォームのユーザーフィールドの値で動的に判定されるため、 レコードの「営業担当」 が自分のときだけ閲覧・編集できます
  • マネージャーは全件、 それ以外(全員ルール)は閲覧不可。 与信限度額は管理職以外には完全非表示です

3社員名簿・人事台帳アプリ

要件: 社員レコードの登録・削除・編集は人事だけ/一般社員は基本情報(氏名・部署など)は閲覧できる/給与・賞与は人事だけが閲覧・編集できる。

アプリ権限

対象
全員
閲覧
追加
×
編集
×
削除
×
管理
×
対象
人事グループ
閲覧
追加
編集
削除
管理

フィールドアクセス権

フィールド
給与
対象
人事グループ
プリセット
すべて編集可
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
フィールド
給与
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
フィールド
賞与
対象
人事グループ
プリセット
すべて編集可
新規追加
編集可
編集
編集可
閲覧
表示
フィールド
賞与
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
  • アプリ権限で全員=閲覧のみ・追加/編集/削除×にすると、 名簿は全員が見られますが、 登録・編集・削除は人事だけになります(「管理」 と「追加」 は独立フラグなので、 人事の行では必要なものすべてにチェックを入れます)
  • 給与・賞与はフィールドアクセス権 (= 完全非表示) で人事以外に非表示。 検索・集計の対象からも除外されます

4問い合わせ・サポート管理アプリ

要件: 担当者は自分が担当する問い合わせを編集できる/他のメンバーは閲覧のみ(対応状況は見えるが触れない)/社内対応メモはサポートチームだけに見せる。

レコード権限(上から順に評価)

ルール
1(上)
対象
フォームのユーザーフィールド(担当者)
閲覧
編集
削除
×
ルール
2(下)
対象
全員(対象者なし)
閲覧
編集
×
削除
×

フィールドアクセス権

フィールド
社内対応メモ
対象
サポートグループ
プリセット
フォームでは非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
表示
フィールド
社内対応メモ
対象
全員(既定)
プリセット
完全非表示
新規追加
非表示
編集
非表示
閲覧
非表示
  • 担当者は自分の案件を編集でき、 それ以外のメンバーは全員ルールで閲覧のみになります(対応状況は共有しつつ、 編集は担当者に限定)
  • 社内対応メモはサポートグループだけが詳細画面で参照・記入でき、 それ以外のメンバーには完全非表示です (= 一覧・API レスポンス・帳票出力からも除去)
  • サポートグループでも新規追加フォームには出さず (= 「フォームでは非表示」 プリセット)、 詳細画面で対応中に追記する運用にします

5部署単位でデータを分ける(組織軸)

要件: レコードの「管轄部署」が自分の所属部署と一致するレコードだけ閲覧・編集できる/ 上位部署への権限付与を下位部署にも継承したい。

レコード権限(上から順に評価)

ルール
1(上)
対象
フォームの組織フィールド(管轄部署)
閲覧
編集
削除
×
ルール
2(下)
対象
全員(対象者なし)
閲覧
×
編集
×
削除
×

階層組織への付与(下位組織に継承)

部署(例: 営業本部)を対象に権限を付与し、その行の「下位組織に継承」をオンにすると、 配下の支社・課に所属するメンバーにも同じ権限が適用されます。 このチェックはアプリ権限レコード権限の組織対象(組織・フォームの組織フィールド)の両方にあり、 既定はオフ(=その組織に直接所属するメンバーのみ)です。

  • 「フォームの組織フィールド(管轄部署)」は、レコードの管轄部署に自分の所属部署が含まれるときに一致します(担当者個人ではなく部署単位でデータを分離できます)
  • レコード権限の組織対象(組織・組織フィールド)は、既定では「直接の所属部署」で判定します。上位の部署を指定して配下にも効かせたい場合は、その対象の「下位組織に継承」をオンにします
  • フィールドアクセス権の組織フィールド一致は従来どおり「直接の所属部署」のみで判定します(継承オプションはありません)

6エクスポート(持ち出し)を管理者だけに許可する

要件: 一般メンバーは閲覧・編集できるが、CSV エクスポート(データの持ち出し)とインポートは管理者だけに限定したい(情報漏洩・コンプライアンス対策)。

アプリ権限

対象
全員
閲覧
追加
編集
削除
×
インポート
×
エクスポート
×
管理
×
対象
管理者グループ
閲覧
追加
編集
削除
インポート
エクスポート
管理
  • インポート/エクスポートはアプリ権限の独立したフラグです。閲覧・編集は許可したまま、エクスポートだけを管理者に限定できます
  • エクスポートは閲覧が前提、インポートは追加または編集が前提です(前提の権限が無いと、その操作は許可できません)

注意事項

  • デフォルトではアプリへのアクセス権はなしです。 明示的に権限を付与してください
  • ただしアプリストアのパッケージから導入したアプリは、パッケージが宣言した役割に応じた権限が最初から入っています(前述の「パッケージが最初から設定する権限」)
  • アプリの作成者は、作成時に自動付与される管理者権限を持ちます(この権限は他の管理者によって剥奪・別メンバーへの移譲が可能です)
  • システム管理者・オーナーはすべてのアプリの設定を変更できます(フォーム・権限・ワークフロー等。作成者やアプリ管理者が退職・異動した場合の引き継ぎのため)。 ただしレコードの閲覧・追加・編集・削除は、そのアプリに設定されたアクセス権に従います(設定を管理できることと、レコードを見られることは別です。詳しくはアプリ管理(棚卸し)を参照してください)
  • 権限設定の変更はアプリ管理者、またはシステム管理者・オーナーが実行できます
  • フィールドアクセス権はUI と API の両方で強制されます。 UI で隠している field を API 経由で送っても無視され、 閲覧軸が「非表示」 の field は API レスポンス・CSV エクスポート・帳票出力すべてから自動で除去されます

関連設定

  • フォームのレイアウト — 設定 → フォーム。 フィールドの並び順や見出しを変更したい場合 (= 単なる並び替えはフォームレイアウトで、 アクセス制御はフィールドアクセス権で行います)
  • レコード権限 — 設定 → 権限 → レコード。 「自分の担当レコードだけ閲覧」 などレコード単位の絞り込み
  • アプリ権限 — 設定 → 権限 → アプリ。 アプリ全体の閲覧 / 追加 / 編集 / 削除 / インポート / エクスポート / 管理 のベース許可