ステップアップガイド

クイックスタートで作った「顧客管理」アプリを起点に、新しく「案件管理」アプリを足しながら Raxel の主要機能を順に試します。 所要時間は 30〜45 分。アプリの作成・編集権限が必要です。

本ガイドで触れる機能:

  • Phase 1 (データモデル): ルックアップ / 計算フィールド / 関連レコード集計
  • Phase 2 (可視化): グラフ / カレンダー / 条件付き書式
  • Phase 3 (自動化): ワークフロー / CSV インポート
Tip:計算式や API で使う「フィールドコード」(英字 ID) はフィールド設定パネルの「フィールドコード」欄で確認できます。本ガイドでは、設定操作は表示名 (例「金額」)、計算式の中はフィールドコード (例 amount) で書き分けます。

Phase 1: データモデルの拡張

アプリ間でデータを連携させ、値を自動的に導出する仕組みを作ります。

1. ルックアップで別アプリのデータを参照する

ルックアップを使って「案件管理」から「顧客管理」の顧客情報を引用します。 まず「案件管理」アプリを新規作成し、以下のフィールドを追加します (フィールド名 / タイプ / 主な設定)。

フィールド名
案件名
タイプ
文字列 (1行)
設定
必須: ON
フィールド名
顧客
タイプ
ルックアップ
設定
下の手順で個別に設定
フィールド名
顧客名 (参照)
タイプ
文字列 (1行)
設定
顧客の会社名コピー先 (空のまま追加)
フィールド名
金額
タイプ
数値
設定
桁区切り: ON
フィールド名
ステータス
タイプ
ドロップダウン
設定
商談中 / 受注 / 失注
フィールド名
期限日
タイプ
日付
設定
後の章で利用

「顧客」フィールドの編集アイコンを開いて、ルックアップの設定パネルで以下を指定します。

  • 参照先アプリ: 「顧客管理」を選択
  • 紐づけキー: 「顧客コード」を選択 (参照先で「重複禁止 ON」になっているフィールドのみ選択肢に出ます)
  • 表示するフィールド: 検索ダイアログで一覧表示するフィールド (例: 「会社名」「電話番号」)。何も指定しないと「レコード番号」だけになります
  • コピー先フィールドの設定: 「+ 追加」をクリックし、 コピー元「会社名」 → コピー先「顧客名 (参照)」を 1 行追加

保存後、案件管理でレコードを追加すると「顧客」フィールドに「取得」ボタンが現れます。 ボタンをクリックすると顧客管理のレコード一覧が出るので、対象を選択。 顧客コード (紐づけキー) と「顧客名 (参照)」(コピー先) に値が自動入力されます。

Tip:コピーされた値は選択時点のスナップショットで、参照先が後から更新されても自動更新されません。 常に最新値を表示するなら参照値フィールドを使います。
詰まったら:「紐づけキー」のドロップダウンに「顧客コード」が出ない場合、参照先 (顧客管理) で「顧客コード」フィールドの「重複禁止」が OFF になっています。 参照先のフィールド設定で「重複禁止」を ON にしてから、再度ルックアップ設定を開いてください。
サンプルで体験:ルックアップ + 関連レコード集計 + 計算が組み込まれた完成形をすぐ見たい場合。 受注管理 (顧客連携)」を導入 →

2. 計算フィールドで自動計算する

「案件管理」に以下の計算フィールドを追加します。フィールド設定の「数式」欄に式を入力すると、保存時に検証されます。 式中の amount は「金額」フィールドのフィールドコード (フィールド設定の「フィールドコード」欄で確認できる英字 ID) です。

フィールド名
消費税
タイプ
計算
数式
amount * 0.1
フィールド名
税込金額
タイプ
計算
数式
amount + amount * 0.1

レコードの「金額」を入力・編集すると、消費税と税込金額が即時に再計算されます。 計算結果はサーバ側で保存されるので、CSV エクスポートやメールテンプレートでも値として使えます。

計算結果の例

金額1,000,000
消費税100,000
税込金額1,100,000
Tip:IF / ROUND / CONCAT / DATEDIF など多くの関数が使えます。利用可能な関数一覧と数式構文は計算フィールドのマニュアルを参照してください。
詰まったら:「数式が無効です」と保存できない場合、式中で参照しているのはフィールドコード (英字 ID) かを確認してください。表示名 (例「金額」) は使えません。フィールドコードはフィールド設定の右上の「フィールドコード」欄で確認・変更できます。

3. 関連レコード集計で関連データを自動集計する

「顧客管理」アプリに「関連レコード集計」フィールドを追加します。 集計元の案件管理アプリのレコードを、顧客コードでマッチングして件数や合計を求めます。

1 件目: 顧客ごとの案件数を表示するフィールド。

  • フィールド名: 案件数
  • タイプ: 関連レコード集計
  • 集計元アプリ: 案件管理
  • レコードの対応条件: このアプリ (顧客管理) の「顧客コード」 = 集計元 (案件管理) の「顧客」 (案件管理側はルックアップフィールドなので、 紐づけキーである顧客コードの値が入っている)
  • 集計方法: 件数 (COUNT)

2 件目: 合計金額を表示するフィールド。1 件目と同じ「対応条件」で、集計方法だけ変えます。

  • フィールド名: 合計金額
  • タイプ: 関連レコード集計
  • 集計元アプリ: 案件管理
  • レコードの対応条件: 1 件目と同じ
  • 集計方法: 合計 (SUM)
  • 集計元の集計対象フィールド: 金額

保存後、顧客管理のレコードを開くと、紐づく案件の件数と合計が自動表示されます。

集計結果の例

会社名案件数合計金額
山田商事34,500,000
田中工業1800,000
Tip:集計対象を絞りたいときは「フィルタ条件」で「ステータス = 受注」などを指定できます。受注済みだけの合計金額を取りたい場合などに便利です。
詰まったら:集計値が常に 0 / 空の場合、「レコードの対応条件」のフィールド指定が左右逆になっていないかを確認してください。 左 (このアプリ) は集計フィールドを置いた側、右 (集計元) は集計対象のレコードがあるアプリです。

Phase 2: データの可視化

蓄積したレコードを、業務状況がひと目で分かる形に整形します。

4. グラフでデータを可視化する

グラフの設定はアプリの設定画面ではなく、案件管理アプリの「グラフ」タブから直接行います。

  • 「グラフ」タブを開き、画面右上の「+ 新規グラフ」をクリック
  • グラフの種類: 「棒グラフ (縦)」を選択
  • 分類軸 (groupBy): 「ステータス」
  • メトリック: 件数 (COUNT)
  • 「ビューとして保存」で名前 (例: 「ステータス別案件数」) を付けて保存

金額ベースで見たいときは、メトリックを「合計」、集計フィールドを「金額」に変えます。

グラフの例

ステータス別 案件数

商談中
受注
失注
Tip:集計方法を「合計」、対象を「金額」にすると金額ベースのグラフになります。クロス集計表や複数グラフはグラフのマニュアルを参照。
サンプルで体験:棒・折れ線・円・散布図 + クロス集計のサンプル。 売上分析」を導入 →

5. カレンダーで日付データを表示する

案件管理アプリの「カレンダー」タブを開いて、画面上部の設定パネルで以下を指定します。

  • 日付フィールド: 「期限日」(必須。レコードを配置する日付の基準)
  • タイトルフィールド: 「案件名」(セルに表示するラベル。未指定だとレコード番号になる)

設定はそのままタブ上に反映されます。「ビューとして保存」で名前を付ければ、複数のカレンダー設定を切り替えられます。 カレンダー上のレコードを別の日付にドラッグすると、紐づく日付フィールドの値が即時に書き換わります。

詰まったら:日付フィールドが空欄のレコードはカレンダーに出現しません。期限日が必須でないアプリでは「日付が空のものをどう扱うか」を運用ルールとして決めておくと迷子のレコードが減ります。
サンプルで体験:カレンダービューと日付フィールドの最小構成サンプル。 スケジュール管理」を導入 →

6. 条件付き書式で重要なレコードを強調する

条件付き書式はビューごとに設定します。アプリの設定画面 → 「条件付き書式」タブを開き、対象のビュー (例: 「デフォルト」) を選択して「+ ルールを追加」をクリックします。

1 件目: 失注を薄い赤に。

  • 条件: 「ステータス = 失注」
  • 背景色: プリセットから薄い赤、文字色は黒 (デフォルト)
  • 適用範囲: 行全体 (デフォルト)

2 件目: 高額案件を薄い緑に。

  • 条件: 「金額 > 1,000,000」
  • 背景色: 薄い緑

1 つのルールに複数条件を入れる場合、AND (すべて一致) / OR (いずれか一致) を切り替えられます。 ルール同士は上から順に評価され、最初にマッチした 1 件だけが適用されます。優先度の高いものをドラッグで上に並べてください。

色分けの例

案件名ステータス金額
大型基幹システム導入商談中5,800,000
小規模 Web 改修受注320,000
サポート契約更新失注540,000

Phase 3: 業務プロセスの自動化

承認フローや一括登録など、運用フェーズで効いてくる仕組みを足します。

7. ワークフローで承認フローを設定する

ワークフローは Raxel の独自機能で、レコードに専用のステータスを持たせ、ボタン操作でステータスを遷移させる仕組みです。 Section 1 で作った「ステータス」ドロップダウンとは別物で、手動入力ではなくフロー定義に従ってのみ遷移する点が違います。

設定はアプリの設定画面 → 「ワークフロー」タブから行います。手順は 3 段階:

a. ワークフローを有効にする

「ワークフローを有効にする」トグルを ON にします。

b. ステータスを定義する

ワークフローに登場するステータスを 1 件ずつ追加します。例として 4 件:

ステータス名
商談中
種別
初期 (レコード作成時に自動設定)
ステータス名
承認待ち
種別
(なし)
ステータス名
受注
種別
完了
ステータス名
失注
種別
完了

c. 遷移ルールを追加する

ステータス間の移動を「+ 遷移ルールを追加」で 1 件ずつ定義します。

遷移元
商談中
遷移先
承認待ち
操作ラベル
承認依頼
実行可能な対象
全員
遷移元
承認待ち
遷移先
受注
操作ラベル
承認
実行可能な対象
営業部長グループ
遷移元
承認待ち
遷移先
商談中
操作ラベル
差し戻し
実行可能な対象
営業部長グループ
遷移元
商談中
遷移先
失注
操作ラベル
失注として閉じる
実行可能な対象
全員

保存後、案件レコードの詳細画面に現在ステータスとボタン群 (「承認依頼」「承認」「差し戻し」など) が表示されます。 現在のステータスから出ている遷移ルールのうち、操作ユーザーが「実行可能な対象」に含まれるルールのボタンだけが押せます。 遷移すると変更履歴に自動記録され、担当者を設定していれば通知が飛びます。

Tip:各ステータスに「担当者 (処理者)」を設定すると、遷移時にその担当者へ通知が届きます。担当者はユーザー選択フィールドから取得・手動指定・レコード作成者から選べます。詳細はワークフローのマニュアルを参照してください。
サンプルで体験:多段階の承認フロー + ステータス別フィールド権限のサンプル。 経費申請」を導入 →

8. CSV インポートでデータを一括登録する

レコード一覧画面のヘッダ右上にある「CSVインポート」ボタン (📤 アイコン付き) をクリックします (顧客マスタを過去顧客リストから一括投入する用途を想定)。

  • ファイル選択またはドラッグ&ドロップで CSV をアップロード。 1 行目をヘッダー行として扱う想定です
  • マッピング画面で「CSV の列 → アプリのフィールド」を確認。 ヘッダーがフィールド名 / フィールドコードと一致する列は自動マッピング、 余分な列は「(マップしない)」を選んでスキップ
  • 重複禁止フィールド (例: 顧客コード) があるアプリでは、 重複時の動作 (「上書き」/「スキップ」) を指定
  • 「インポート開始」をクリックして実行。 実行中は進捗バー、完了後にエラー件数とエラー内容 CSV のダウンロード導線が表示されます
Tip:1 ファイルあたり 100 MB / 10 万行まで対応。これを超える場合はファイルを分割して複数回に分けます。
詰まったら:文字化けする場合は CSV を UTF-8 (BOM 付きでも可) で保存してください。Excel から書き出すなら「CSV UTF-8 (コンマ区切り) (.csv)」を選びます。Shift_JIS は非対応です。

さらに高度な機能

ここまでの設定で実用的な業務アプリが完成します。次のような発展機能もあります。